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日本の美 万葉集の花々
JAPANESE BEAUTY MANYOSHU

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FLORAL HISTORY

日本の文学の歴史を紐解くと、花を愛でる歌や随筆が多く存在し、古の人々の美意識に心を動かされます。ここでは『万葉集』の花の歌を通して、日本の自然観と美意識<儚さ・無常観等>に迫ります。

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紅花 BENIBANA​

外のみに 見つつ恋ひなむ 紅の 末摘花の 色に出でずとも  

読み:よそのみに みつつこひなむ くれなゐの すゑつむはなの いろにいでずとも

意味:遠くから見るだけの人を恋し続けよう 末摘む花の紅のように表に出なくても                                                                         

作者未詳

万葉集の時代から日本人は、紅花の花と高貴な紅花染めの美しい色合いを深く愛し、憧れをもっていました。濃い赤に染めるためには何回も染める必要があり、手間がかかる分、貴重な色だったのです。この歌のように、憧れの人への恋心を紅花にのせる歌が多く読まれています。この歌では、叶わぬ恋を心に秘め続ける情熱を色彩豊かに美しく詠っています。

​撫子 NADESHIKO

一本の なでしこ植ゑし その心 誰に見せむと 思ひそめけむ  

読み:ひともとのなでしこうゑしそのこころたれにみせむとおもひそめけむ

意味:一本のなでしこを植えたのは、誰に見せようと思って植えたのでしょう。あなたに見せようと思って植えたのです。

大伴家持

 

撫子の花言葉は、無邪気、純愛など。英語のPinkピンクの語源は、もともと撫子や石竹(せきちく)(撫子は日本原産で、石竹は中国から伝来した唐撫子のこと)だと言われています。野に咲く小さく清楚で可憐な撫子が、心の繊細な色を美しく表現しています。

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桜SAKURA

桜花 咲きかも散ると 見るまでに 誰れかもここに 見えて散り行く

読み:さくらばな さきかもちると みるまでに たれかもここに みえてちりゆく

意味:桜の花は咲いたかと思ったら散っていくと見えるほどだが、どの人々もここに現れたかと思うと散っていく

柿本人麻呂

 

現代人が思い浮かべる桜、ソメイヨシノは江戸時代後期に開発された品種で、平安時代以前は桜といえば山桜のことを指しました。桜の品種は違えど、現代人と共通するのは、桜に「一瞬の美」、「儚さの美」を見いだすところ。日本の美意識の真髄を感じます。

​日本の美 儚さ
JAPANESE BEAUTY

古くから日本人の根本にある概念「自然を愛でる美意識」。「花鳥風月」という言葉があるように、自然の「あるがままの移り変わり」を愛でる心があります。

 

そして自然だけでなく、人生の中に起こる移り変わり、自分の思いが届かない悲しみや、願いが叶わない切なさ、別れの寂しさ、無常の中にも「美」を見出す心があります。

 

自然や人生の出来事の中の変化をしみじみと味わう繊細な心の動きの中に、「美」を見いだすこと

 

万葉集の花々は、私達に、繊細な美を愛でる心、日本の美のエッセンスを豊かに感じさせてくれるのです。

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​時を超える美
TIMELESS

日本独自の自然観や美意識は、歴史とともに豊かに育まれ、現代においても、世界中の人々を魅了しています。

日本人である私達が、日常の中で、忘れかけている大切な心を呼び覚ます力を日本の美意識はもっているのです。

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