幸運をよぶ日本の花の文様
JAPANESE FLORAL PATTERN
文様の美
日本の伝統工芸品や着物などに描かれ、愛でられてきた文様には、幸せへ導く願いが込められています。
19世紀後半、フランスを中心にヨーロッパで浮世絵などの日本趣味が流行し、芸術にも影響を与えたジャポニズム以降、日本の文様、とりわけ、花の文様はヨーロッパの装飾に大きな影響をあたえました。
平面的な構図はフラットレイ(俯瞰写真)のように迫力があり、花へのストレートな愛あるまなざしが感じられます。
海を越え、時を超え、日本の花の文様は、人々の心にある美を愛でる気持ちや、純粋な願いを大切にする尊さを思い出させてくれます。ここでは花と花がつくる文様を少しご紹介します。
菊文
薬玉文
菊文 KIKUMON : 延命長寿・若返り祈願・健康祈願
昔から、菊には長生きの薬能があると信じられてきました。姿、色、香りが美しく、ジャポニズムが広まった1890年代以降、フランスを始めヨーロッパでも人気を集め、ファッションや工芸品に取り入れられました。
薬玉文 KUSUDAMAMON:無病息災
花が集まってできている薬玉文は、「久寿玉文」とも書かれます。薬玉を柱などにかけておくと、邪気を避け、長寿を保つ事ができると言われてきました。現代では、その愛らしさから、七五三の帯などにもよく描かれています。
藤文
扇文
藤文:FUJIMON :五穀豊穣
花の垂れさがる様子が、たわわに実る稲穂を連想させるため、豊かさの象徴となっています。
扇文:OUGIMON:繁盛・開運
扇は広げると末広がりになるので開運に繋がる「末広文」とも言われています。扇で仰ぐことで福を招き、邪悪を避けるとも言われてきました。花が描かれている扇は花扇文ともいいます。
水仙文
花丸文
水仙文 SUISENMON:立身出世・技芸上達
仙人に通じる縁起が良い植物と言われています。
花丸文 HANAMARUMON :永遠の幸せ・縁結び
花や葉、枝丸くまとめた花丸文。永遠に続く幸せという意味が込められています。円であることから、ご縁に繋がるとも言われています。
時を超える美
世界のアーティストやメゾンも注目し、新しいクリエーションのインスピレーションの源泉にしている日本の花の文様の数々。
そのデザインと込められた意味の美しさや愛らしさはタイムレスに輝き続けます。